職場にかかってくるワンルームマンション投資勧誘の電話の撃退法(公務員の副業に不動産投資をお勧めしない理由⑤)

 公務員に限らず、サラリーマンとしてオフィスで働くみなさん、あなたの職場に突然、「源泉所得税の節税ができる、お得な話があります」とか「年金が増えない時代に、将来の資産形成となるお話をさせてほしいとかいう営業トークの電話が掛かってくることはありませんか。

 相手が熱心に話すものだから、なんとなく勢いに押されて話を聞いてしまってなかなか切ることができないうちに、ワンルームマンション投資の話であることが分かるのですが、最後には「もしよければお仕事が終わった後に職場の近くで説明させていただけませんか」と畳みかけてきます。

 職場でいきなりこんな電話を受けると、普通の人は混乱してとりあえず話を聞いてしまうかもしれませんが、この手の電話への対処方法について結論から言うと、最初の段階で、「興味ないんで」と言って切っていいです。100%遠慮は無用です。

以下、その理由を説明しましょう。

 実は私は公務員になる前、民間で営業の仕事をしていた時期があります。住宅じゃないですが、個人向けに、あるサービスを電話で売り込む仕事をしていました。当然ですが、一日の架電件数のノルマもありました。その経験から言いますと、興味がない、要するにどんなに粘っても絶対に買う気がない人とは、長い間、電話で話し続けるのはむしろ時間の無駄であり、それならば次の人に電話したほうがマシなのです。

 もうおわかりでしょうか?端的に言いましょう。こうした電話は、受けた側から、早く切ってあげることこそが、かけてきた相手にとっても親切なのです。
 そう考えれば、「切りにくいな」とか、「切らずに話を聞いてあげなきゃ相手に悪いな」とかいう発想は出てこなくなるでしょう。

 したがって、相手の勢いに押され、「会ってご説明しましょう」という言葉に乗り、職場近くの喫茶店などで面会のアポを受けてしまうのは最悪です。説明を聞いたうえで興味がないと言って断ればいいやなんて思っているかもしれませんが、会ってしまうと相手のペースに引きずり込まれ、もっと断りにくくなりますよ。もちろん、本当に興味のある方ならこの限りではありませんが。
 
 そもそも、こういうまったくツテなしの相手に突然電話して売り込みをかけることは、英語でcold call(またはcold calling)と言われています。なぜcold(冷たい)なのかというと、人間関係が温まっていない相手方への突然の電話という意味だからでしょう。当然ですが成功確率は低いわけで、電話をかける側からしても、切られて当然であり、話を聞いてもらえたらラッキー、とさえ思っています。

 新卒で公務員になった方は、営業仕事の世界というものについてあまり想像がつかないかもしれませんが、営業活動というのは、そもそも確率の問題、言い換えれば一定(何十、何百も)の電話やアポ(訪問・面談)の数をこなしたうえでしか、結果(成約)はついてこないという法則があります。

 その確率は、営業活動を行う相手方(電話する名簿、訪問する相手先)が、自社が売り込みたいものに対して、どの程度明確な、あるいは潜在的なニーズをもっているかによって変動します。
 たとえば、不特定多数向けに広告を打って、その反響で相手から何らかの問い合わせや資料請求を受けているのであれば、その連絡先にアプローチするのはcold callではないので、電話や訪問をするのでも、まったく反応が違います。

 それに引き換え、マンション投資に興味がない人がほとんどであろう官公庁の職員や企業の従業員あてに突然電話をかけて、興味ありませんかって言われても、普通は引きますよね?でも、相手もお仕事ですから、そんな反応になることは分かったうえで、電話では話を聞いてもらえるように粘ろうとしますし、さらに会って話を聞いてもらえてなんぼなわけです。
 当然、長く引き伸ばせるほど、相手側としては、成約に向けて脈があると考えます。男女の恋愛関係でも同じですが、もともとこちらにはその気がないのに、脈があるかのように相手に気を持たせておきながら、後で断るのはかえってひどい仕打ちですよね。その意味でも、電話の段階でさっさと切ったほうがいいのです。

「切らせていただきます」といってガチャ切りするとクレームが来たりしないか

 そもそも、職員個人を対象とした営業目的の電話なのですから、相手は役所にとって顧客(住民)ではありません。こちらには通話の継続を断る権利があり、応対が悪いという話にはなりません。実際に、ガチャ切りしてもクレームなんて来ません。相手もそんな暇じゃないんで。万一来たとしても、人事部門も含めて問題にしないでしょう。
 ガチャ切りの後でもう一度電話が掛かってきて、「今の電話は何なんだ、今日の夕方お前のオフィスの前で待ち構えているからな、覚えてろよ」などと捨て台詞を吐く人も昔はいたみたいですが、脅して契約は取れません。そんな時間があったら別の人に電話しますよね。

「忙しいんで切らせてもらう」はNG

 この言い回しは、相手に「お手すきのときになら、またかけていい」という口実を与えてしまうのでやめましょう。営業担当者としては、まったく脈のない人には二度と見向きもしない一方、きっぱり断れず電話で長く話に応じてくれた人は、何度も電話して押し続ければ行けるかも、と学習してしまう可能性があるからです。電話をかけること自体がノルマなので、その情報が他のスタッフに流用される可能性もあります。結局、短時間ではっきり断らないと、再度の電話を呼び込む可能性があるということは認識しておいてください。

 とはいえ、いまだになぜ役所に投資勧誘の電話が掛かってくるんでしょうか。公務員はカモだと思われているのでしょうか。そういう使われ方がされることが分かっているのに、いまだに職員名簿を外販している役所もあるのですから、困ったものです。

 今時、インターネット広告など様々な反響営業(プル型営業)の手段があるにもかかわらず、こういう電話営業でしか潜在的顧客を手繰り寄せることができないというのは、ビジネスモデルとしていかがなものでしょうか。本当においしい投資話なら、こんな営業手法をとらなくても顧客は飛ぶように集まるはず。いかに、この手の投資話が、乗ってはいけない危ない話であるかがわかりそうなものです。

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