先日、NHKの朝のニュースで、気仙沼市に勤務する職員がアイドルを兼業しているという話題が紹介されていました。もともと地域限定ニュースみたいでしたが、全国ニュースでも紹介されました。
気仙沼市のご当地アイドル「SCK GIRLS」。 「S=産地、C=直送、K=気仙沼」がコンセプトで、東日本大震災の直後、地元を元気づけようと結成されました。 震災のあと、中学2年で参加した鈴木麻莉夏さんは、その後12年にわたってステージに立ち続け、いまは市役所の職員としても、まちを活気づけようと働いています。 ふるさとの笑顔を増やそうと、アイドルと公務員として、気仙沼に向ける思いを取材しました。
宮城県気仙沼市出身で、中学時代から地域アイドル活動をされている鈴木麻莉夏さん。高校卒業後、民間勤務を経て、今は気仙沼市の観光課の職員を掛け持ちしているのだそうです。
東日本大震災に関連する要素もあり、マスメディアが取り上げやすい美談ということで良いと思うのですが、公務員の副業・兼業目線で見ると、情報量が少ないゆえにやや誤解を招きかねないようにも感じました。別の切り口で取り上げている宮城県のページには丁寧に説明がなされているのですが、実は彼女は会計年度任用職員であり、いわゆる普通の常勤公務員ではないからです。
会計年度任用職員の副業規制は、フルタイムならば正規職員と同じですが、パートタイムならばかなり緩いです。後者ならアイドルとの両立がかなり容易でしょうが、彼女はどちらなのでしょうか。上の宮城県のページに出ている「ある日の私のスケジュール」を見る限りでは、彼女はフルタイム型のように思えます(もちろん、週5勤務とは限りませんので、パートタイムの可能性も十分あります)。
とはいえ、そもそも会計年度任用職員は任期の定まったジョブ型雇用。異動がないので、観光課に居続ける限りは、フルタイム型であっても地域アイドル活動とは両立が許されることになると考えるのが自然です。
このケース、大リーガーの大谷選手にならってか、「二刀流」と好意的に取り扱っているネット投稿も見受けられます。それはそのとおりなのですが、広範な異動で業務内容・負荷が大幅に変動しうる一般的な行政職員が行おうとする「二足の草鞋」とは、そもそもかなり違うものであるという認識はもっておかないといけないと感じました。