長寿化の進行により、勤労者の定年後の時間も伸びており、生きがいを見つけることが課題であるなどといわれます。
ただ、そうした意見には、実は盲点があるように思うのです。男性の平均寿命が80歳を超えた昨今ですが、それが独り歩きしているだけで、多くの人は別に80歳までぴんぴんしているわけではありません。日常生活上、病気などによる行動制限がない状態を意味する健康寿命については、平均寿命より10歳も短い、71歳前後だといわれています。つまり、活動的でいられる期間は、意外と長くないのです。
かたや、寿命が延びているし、高齢になっても元気だから長く働き続けるべきだという理屈から、65歳まで段階的に定年延長する計画を進めている役所が増えてきています。でも、それって本当にいいことなのでしょうか。
65歳で、定年延長の仕事が終わって完全フリーになってから健康寿命の期限まで、さほど時間が残らくなるじゃないですか。上の例だと、5~6年程度。快適に旅行などができるのは、そんなわずかな期間しかなくなってしまうんです。
そう考えると、早期退職は何とも魅力的ではないでしょうか。
そんな思いに至るきっかけを作ってくれたのが、タイトルにもある「棺桶まで歩こう」という本です。
がん患者の緩和ケア・看取り医をやっている方が書いた本です。がんで死ぬ、というと、世の中的には「無念」「敗北」的な考えを持つ人もいるかもしれませんが、決してそうではないと説いています。人は必ず老いて死ぬのであり、がんをきっかけに、体が少しずつ衰え、最終的に生き切って死ぬことは、まったく問題ない。がんにならずに認知症になって生かされ続ける方が不幸だろうという含蓄もあります。
全編、落涙必死。
決して、電車の中では読まないでください。
棺桶まで歩こう (幻冬舎新書) [ 萬田緑平 ]





