以前に、株のインサイダー取引に関する記事を書いた。
先月(10/19)、驚きのインサイダー取引疑惑のニュースが入ったことをみなさんはご記憶だろうか。金融庁へ出向中の裁判官(出向に伴い、身分は行政官扱い)が、立場上入手できたTOB関係の資料から、関連銘柄の株取引を行って数十万円以上の利益を上げた疑いが持たれているのだとか。この件を受けて、本人は現在金融庁の別の部署に異動しているというが(報道によると秘書課付。事実上の待機ポストなので、「何もするな」=謹慎ではないか?)、もしインサイダー関与が事実ならば、
これは、金融庁に出向中の裁判官が、立場上得た情報に基づき自分で株の売買を行ってインサイダー取引をやらかした話なのだが、その後音沙汰ないと思っていたら、最近いきなり、東京地検特捜部が起訴する方針という報道があった。
というかこの人物、金融庁は懲戒免職になったが、報道での肩書は、まだ裁判官。やはり免職には弾劾裁判が必要なのだろうか?まともな神経の持ち主なら辞表を出すと思うのだが、懲戒対象で退職金剥奪もあり得るから辞職が認められないのだろうか。
それはともかく、インサイダー取引って、どうもバレないって思っている人がいるみたいだけど、決してそんなことはない。「いまここで、この銘柄をこんな大量に売買するか?」みたいな不審な売買については常に当局が監視しているからだ。
本当に偶然ならまだしも、どこかから情報を得ての売買ならば、まともに調査に入られたら、ほぼ足がついてしまうものだ。
一方、不審がられない程度の数量で売買したのなら、何の旨味もない。
ということで、インサイダー取引なんて、割の合わない違法行為の典型なのだが、そう思わない人がたまにいるらしい。
なお、インサイダー取引といえば、上の事件と同じ時期に、東証社員が関与した事件も起きていて、金融界に衝撃が走った。そっちは、東証内で、やはり立場上企業の未公開情報を知ることができる社員が、親族に、値上がり確実な銘柄の事前購入を勧めていたというものだった。
ところがその後の報道で、どうやら本人が親族に勧めていたんじゃなくて、息子の業務内容を知った父親が、息子に再三情報提供を迫ったらしい。息子は最初のうちは拒んでいたらしいが、抗しきれず、提供に及んだ…。
東京証券取引所の元社員が業務で知ったTOB(株式公開買い付け)情報を漏えいし、インサイダー取引に関与したとされる事件で、元社員が当初、情報伝達を求める父親に「(東証の)社員だから教えられない」と断っていたことが24日、関係者への取材で分かった。違法性を認識していた疑いがある。
結局バレてしまい、息子を巻き込んで、自分自身も犯罪者の道へ…。
世には「親不孝者!」という言葉があるが、これは全く逆だ。
悪い親を持つと、子どもは自分の職業や今やっている仕事を正直に言えない時代になっているのだろうか。